| 芽地形戌細菌(spore-forming bacteria)は物理的.化学的処理に対して極めて強い耐久性を示す芽胞(胞子.スポア)を形成するが、これらはしばしば通常の食品製造過程での殺菌処理後でも残存する。芽胞形成細菌として.バチラス属(Bacillus)クロストリジウム属(Clostridium)、Desulfotomaculum属、Sporolactobacillus属などがあり、これらはいずれも食品汚染徹生物として問題を引き起こす。特に.ボツリヌス薗(C.botulinum)、ウエルシュ薗(C.perfringens)、セレウス菌(B.cereus)などは毒素を産生して食中毒の原因となる.また.ほかの多くの芽胞形成細菌も食品の変性の原図となっている。ここでは、細菌の形成する牙胞に限定し、酵母やカビなどが形成するスポア(胞子)については省略する. |
1.微生物の耐熱性
表−1はおもな徹生物の耐熱性を比較したもので、芽胞形成菌は酵母、サルモネラのような無芽胞性の食中毒細菌やグラム陰性細菌に比べ極めて高い耐熱牲を示す。 |
2.細菌芽胞の耐熱性
表−2はおもな細菌芽胞の耐熱性をまとめたものである。121℃におけるD値(残存生菌数が1/10に減少するのに要する加熱所要時間)で比較した。ボツリヌス薗はハムやソーセージの食中毒菌としてよく知られており、魚、肉、野菜などの低酸性缶詰中で腐敗を起こし.食中毒の原因となる.E型ボツリヌス菌はわが国では「いずし」による食中毒原因薗として知られているが、牙胞の耐熱性はほかの芽胞に比べ比較的低い。 一方.A型およびB型ポツリヌス菌は非常に高い耐熱性を示す。C.sporogenesはタンパク質分解性、毒素非生産株であるが、ボツリヌス菌よりも高いD値を示すので.缶詰におけるボツリヌス菌殺菌の指標菌として用いられている。B.coagulans,B.stearothermophilusは代表的な好熱性細菌で、前者はpH4.5以下の酸性缶詰、後者はpH4.6以上の低酸性缶詰中のフタットサワー型変敗原因菌として知られている。また、B.stearothermophilusは最も高い耐熱性を示すことから、通常、高庄蒸気滅菌用の指標菌として用いられている。 一般に芽胞は乾燥状態では高い抵抗性を発揮する。
3.食中毒起因菌の耐熱性
表−3はしばしば食品腐敗や食中毒の原因菌として検出される芽胞形成菌の耐熱性を比較した。細菌汚染で最も問題となるボツリヌス菌の場合は、120℃でのl)D値が0.1〜0.2分なので、これ以上の加熱処理時間で殺滅が可能である。一般に密封シール容器中の低酸性食品は121℃で3〜6分刷加熱処理を施されている.この処理により.最も高い耐熱性を示すポツリヌス菌牙胞(D121=0.21)を殺滅することができる.D121値が約1分程度の中温性牙胞でも121℃で数分間の加熱処理で死滅させることができる。
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| 微生物の種類 |
熱死滅に必要な温度と時間 |
温度 (℃) |
時間 (分) |
| カビ |
60 |
10〜15 |
| 酵母 |
54 |
7 |
| サルモネラ菌 |
60 |
5 |
| ブドウ球菌 |
60 |
15 |
| 大腸菌 |
60 |
30 |
| 乳酸菌 |
71 |
30 |
| 細菌芽胞 |
|
|
| Bacillus |
100 |
1200 |
| Clostridium |
100 |
800 |
表-1 おもな微生物の耐熱性
菌種 |
121℃におけるD値
(リン酸緩衝液中) |
比 |
| C.botulinum Type E |
0.00015 |
1 |
| C.bifermentans |
0.006 |
40 |
| C.botulinum Type A |
0.12 |
800 |
| C.botulinum Type B |
0.18 |
1,200 |
| C.sporogenes |
1.5 |
10,000 |
| C.thermosaccharolyticum |
4 |
27,000 |
| B.cereus |
0.0065 |
43 |
| B.megaterium |
0.04 |
270 |
| B.subtilis |
0.08 |
530 |
| B.coagulans |
3 |
20,000 |
| B.stearothermophilus |
14 |
93,000 |
表-2 細菌芽胞の耐熱性比較
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